デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)開業までの流れとは?
公開日 2019/01/04
更新日 2026/10/13
この記事でわかること
- デリヘル開業前・開業後にやること
- 警察署への届出と必要書類
- 開業手続きと営業中の注意点
デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)を開業するには、物件探しや人材の確保だけでなく、警察署を通じた公安委員会への届出が欠かせません。届出の前にホームページで宣伝を始めてしまうなど、知らないうちに法律違反になってしまうケースもあります。
この記事では、デリヘル開業までの流れと届出の必要書類、開業手続きや営業中の注意点を、行政書士が解説します。
デリヘル開業までの流れ
まずは、デリヘル開業までの流れとして、開業前にやることと、届出後・開業後にやることを簡単に紹介します。
開業前にやること
デリヘルの開業前にやることは、主に次の5つです。
- 運営する人数やメンバーを決める
- お店のコンセプトや集客方法を決める
- 開業するエリアを決める
- 事務所・待機所として使う物件を探す
- 警察署に無店舗型性風俗特殊営業の届出をする
ほかの業種の開業と大きく違うのは、無店舗型性風俗特殊営業の届出が必要な点です。「デリヘルの営業許可」と言われることもありますが、正式には「許可」ではなく「届出」です。
届出には、事務所を使う権限があることを示す書類(使用承諾書など)が必要です。物件を探すときは、デリヘルの事務所として使うことについて、所有者から使用承諾書をもらえるかどうかを必ず確認しましょう。
物件探しの段階で依頼する行政書士を決めておくと、使用承諾書の内容や必要書類を早めに確認できるので安心です。
届出後・開業後にやること
届出後・開業後にやることは、主に次の5つです。
- キャスト(女性スタッフ)を募集する
- 面接をして採用する(生年月日や国籍などの確認も必要)
- 写真撮影を行う
- ホームページを作り、運営する
- 求人サイトや広告媒体に掲載する
デリヘルの経営がうまくいくかどうかは、キャストの採用と、ホームページのデザインや写真・文章といった集客の工夫に大きく左右されます。
注意が必要なのは、届出書を提出する前に、ホームページの公開や広告・宣伝をしてはいけないことです(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第31条の2の2)。準備は進めておいても、公開は届出の後にしましょう。そのためにも、警察署への届出をスムーズに済ませることが大切です。
デリヘルの開業には警察署への届出が必要
デリヘルを開業するには、事務所の所在地を管轄する公安委員会への届出が必要です。届出書は、事務所を管轄する警察署に提出します。
デリヘルが許可制ではなく届出制になっているのは、国が性風俗の営業を「許可」する形になるのを避けるためだといわれています。
届出は、営業を始める日の10日前までに行うよう案内されています。正確な扱いは、管轄の警察署で確認しましょう。キャバクラなどの風俗営業許可が、申請から許可まで55日程度(土日祝日を除く)かかるのと比べると、比較的早く営業を始められます。
ただし、届出が受理されても、営業中に警察職員による立入検査が行われることがあります。図面などの書類は正確に用意し、届出書に事実と違う内容を書いたり、実態を偽ったりしてはいけません。
デリヘル開業の届出に必要な書類
デリヘルの届出に必要な主な書類は、次のとおりです(警視庁の案内をもとにまとめています)。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 無店舗型性風俗特殊営業営業開始届出書 | 決められた様式の届出書 |
| 営業の方法を記載した書類 | 決められた様式で、営業の方法を記載する書類 |
| 事務所の使用権原を示す書類 | 使用承諾書、賃貸借契約書の写し、建物の登記事項証明書など |
| 住民票の写し | 本籍が記載されたもの(外国籍の方は国籍が記載されたもの) |
| 事務所の平面図 | デリヘル(派遣型ファッションヘルス)の場合に必要 |
法人で開業する場合は、このほかに定款、法人の登記事項証明書、役員全員の住民票の写しが必要です。
待機所を設ける場合は、待機所の平面図と、待機所を使う権限があることを示す書類も必要です。なお、受付所(客と対面して受付をする施設)は、東京都では台東区千束4丁目の一部でしか設けることができません。
管轄の警察署によっては、ほかの書類の提出を求められることもあります。書類に不備がないよう、事前に管轄の警察署へ確認しておきましょう。
参考:性風俗関連特殊営業、深夜における酒類提供飲食店営業の届出(警視庁)
無店舗型性風俗特殊営業営業開始届出書とは
届出書の様式は、管轄の警察署で受け取れるほか、警視庁のホームページからもダウンロードできます。営業の方法を記載した書類も、同じページから入手できます。
記入するときは、住所などを住民票のとおりに書きましょう。たとえば住民票の住所が「3丁目」と書かれている場合は、「三丁目」などとせず、住民票どおり「3丁目」と記載します。
届出書には、広告や宣伝で使う店名(呼称)をすべて記載するなど、正確に書かなければならない項目が多くあります。書類の作成は、行政書士に相談するのがおすすめです。
使用承諾書とは
使用承諾書は、事務所として使う建物の所有者から、その部屋をデリヘルの事務所として使うことについて承諾を得たことを示す書類です。まず法務局で建物の登記事項証明書を取得して現在の所有者を確認し、所有者に使用承諾書へ記名押印をしてもらいます。
所有者が複数いる場合は、警察署から全員の承諾を求められることがあるため、全員に記名押印をしてもらうのが確実です。
なお、自分が所有している建物で営業する場合は、使用承諾書の代わりに、建物の登記事項証明書で使用の権限を示すことができます。
登記事項証明書とは
登記事項証明書は、土地や建物の所在や所有者などの情報が記録された書類で、法務局で取得できます。オンラインで請求することもできます(詳しくは法務局のホームページをご覧ください)。
登記事項証明書には、登記記録の全部が載った「全部事項証明書」のほか、「現在事項証明書」などの種類があります。届出にどの種類を使うかは、事前に警察署へ確認しておきましょう。
事務所の平面図とは
事務所の平面図は、事務所の間取りと、机などの備品の配置が分かるように作ります。待機所を設ける場合は、待機所の平面図も用意します。
図面の書き方の細かい決まりは、警察署によって異なることがあります。事務所と待機所を同じ部屋に設ける場合の区切り方なども含めて、事前に確認しておくと安心です。
開業手続きの注意点
ここからは、デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)の開業手続きで、特に注意したいポイントを紹介します。
管理組合やほかの入居者との調整が必要
建物の所有者から使用承諾書をもらっていても、管理組合やほかの入居者の理解が得られず、トラブルになることがあります。最悪の場合は、退去を求められる可能性もあります。
たとえば分譲マンションの一室で開業する場合、所有者が認めても、マンションの管理規約で事務所としての使用が禁止されていることがあります。この場合、届出が受理されても、営業を続けることは難しくなります。
使用承諾書があるから何をしてもよいというわけではありません。ほかの入居者への配慮を忘れずに営業することが大切です。
法人の場合は銀行口座の開設に時間がかかることがある
法人の銀行口座を開設するときは、定款や登記事項証明書の提出を求められます。事業目的に無店舗型性風俗特殊営業が含まれていると、金融機関によっては口座の開設を断られることがあります。
開業資金の管理や売上の入金に支障が出ないよう、法人を設立する段階から、口座を開設する金融機関に早めに相談しておきましょう。定款は届出の際にも警察署へ提出するため、事業目的は実際の事業内容に合わせて正しく記載する必要があります。
サービスを提供する場所を店側で用意しない
デリヘルは「無店舗型」の性風俗特殊営業です。お客様が指定した場所(自宅やホテルなど)にキャストを派遣するのが基本で、店側がサービスを提供する場所を用意することは想定されていません。
たとえば、借りたマンションの一室でお客様を迎えて接客するようなスタイルは、店舗型性風俗特殊営業とみなされるおそれがあります。店舗型は営業できる地域が厳しく制限されているため、無店舗型の届出だけで営業すると違法営業になってしまいます。
特定のレンタルルームなどと提携し、そこでサービスを提供する形にしている場合も、実質的に店舗型とみなされるおそれがあるため注意が必要です。
店名を増やすときや事務所を移すときは届出が必要
届出書には、広告や宣伝で使う店名(呼称)をすべて記載します(風営法第31条の2第1項)。開業後に新しい店名で営業を始める場合や、事務所を移転する場合など、届け出た内容に変更があったときは、変更の届出が必要です(同条第2項)。
複数の店舗を運営したい場合は、店名の扱いや事務所ごとの届出について、事前に管轄の警察署や行政書士に相談しましょう。
売春につながる行為は防がなければならない
デリヘルで性交(いわゆる本番行為)をさせることは認められません。売春防止法により、売春の周旋や場所の提供などをした者は処罰の対象となり、経営者が処罰されることもあります。
キャストに対しては、売春防止法の内容や、自分の体を大切にすることをきちんと伝え、安心して働ける環境をつくることが大切です。
開業後に守らなければならないこと
届出を済ませて開業した後も、安心はできません。「ばれなければ大丈夫だろう」という考えで違法行為をすると、営業停止などの処分や刑事罰を受けることがあります。変更の届出を怠って処分を受けるケースもあるため、届け出た内容に変更があったときは忘れずに手続きをしましょう。
デリヘルを営業する上で守るべき主なことは、次のとおりです。
- 届出後に交付される書面(届出確認書)を事務所に備え付け、関係者から求められたときは提示する
- キャストを採用するときは、生年月日や国籍(外国籍の方は在留資格など)を決められた書類で確認し、確認の記録を作って保存する
- 事務所に従業者名簿を備え付ける
- 18歳未満の者を客に接する業務に従事させない
- 18歳未満の者を客にしない
- 広告や宣伝をするときは、18歳未満の者は客になれない旨を明らかにする
- 学校などの周辺や条例で定める地域で、広告物の表示やビラの配布をしない
- 人の住居にビラなどを配ったり、差し入れたりしない
- 警察職員の立入検査に適切に対応する
従業者名簿には、従業者の住所・氏名のほか、法令で決められた事項を記載します(風営法第36条)。自己流の名簿では記載事項が足りないことがあるため、決められた項目を確認したうえで作成しましょう。
まとめ
デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)は、許可ではなく届出で開業できます。ただし、事務所の使用承諾や必要書類の準備、届出前の宣伝の禁止、開業後の年齢確認や従業者名簿の備え付けなど、守らなければならないルールが多くあります。
開業までの流れを把握し、物件探しの段階から計画的に準備を進めましょう。届出書類の作成や警察署とのやり取りに不安がある場合は、行政書士への相談がおすすめです。
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執筆者
佐藤 一清
行政書士法人 日本法務 代表社員・行政書士。建設業許可・風俗営業関係の届出・在留資格申請など許認可業務を主な業務とし、令和8年8月に個人事務所 日本法務事務所から法人化。正確さとスピードを両立した法務サポートで、事業者のスタートアップを支える。(日本行政書士会連合会 登録番号 18081237)
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