行政書士試験に独学1ヶ月で合格した勉強法・おすすめテキスト

行政書士試験に独学1ヶ月で合格した勉強法・おすすめテキスト

公開日 2018/01/31

更新日 2026/10/15

# 行政書士試験

この記事でわかること

  • 働きながら1ヶ月で行政書士試験に合格した勉強法
  • おすすめのテキスト4冊と使い方
  • 試験当日のポイントと、勉強法の根拠になる研究

この記事では、正社員として働きながら行政書士試験に1ヶ月で合格した方法や、おすすめのテキストとその使い方、試験本番のポイントをまとめています。

行政書士試験に短期間で合格するには、努力も大切ですが、やみくもに努力するだけでは効率がよくありません。正しい方向を向いて努力する必要があります。時間が無限にあればよいのですが、限られた時間の中で、基本書を読み込むような試験に直結しない努力をしてしまうと、かえって合格から遠ざかってしまうこともあります。

ぜひ参考にしていただき、少しでも皆さまの合格の手助けになればと考えています。これまでに、この勉強法を参考にして合格された方からのご報告も多くいただいています。

働きながら行政書士試験に合格した勉強法

行政書士試験に必要な勉強時間

私が行政書士試験に合格するまでに勉強した期間は1ヶ月、約4週間です。

1週目・2週目は、通勤の電車の中や帰宅後に平均2時間ほど、3週目・4週目は有給休暇も使って平均5時間ほど勉強しました。合計の勉強時間は約100時間です。独学で行政書士試験に合格するには1,000時間必要とも言われているので、その10分の1と、比較的短い時間での合格だと思います。

予備校の広告などでは、独学よりも予備校に通った方が効率的と言われることもあります。しかし、予備校は講義時間だけで200〜300時間かかることもあり、独学の方が合格に向けて効率的に学習できると考えています。

以下では、1ヶ月で行政書士試験に合格した勉強法を紹介していきます。

行政書士試験のおすすめテキスト

好みで似たテキストを使ってもかまいませんが、必要なのは次の4種類だけです。ほかのものに手を出しても費用対効果は低く、時間の無駄になってしまうと思います。

※紹介しているテキストは、2026年10月時点の最新版(2026年度版)です。年度版は毎年新しくなるので、受験する年度の最新版を選んでください。

基本書などの通読は、試験合格にはほとんど役に立たないので必要ありません。ただ、辞書のように使うために購入してもよいかもしれません。

実は、私も予備校の参考書を買っていましたが、結局開いたのは2、3回ほどで、ほとんど使いませんでした。分からない言葉は調べれば必要最低限の情報は手に入りますし、その方が効率もよかったです。

過去問題集

過去問題集は、肢別(一問一答形式)のものを使いました。過去問の選択肢ごとに○×を答える形式で、一問ずつテンポよく進められ、すき間時間にも取り組みやすいのでおすすめです。

時間に余裕があり、家でまとまった勉強時間が取れる方なら、肢別ではなく、本番と同じように選択肢を選ぶ形式の方が効果は高いです。ただ、すき間時間で取り組めることと、1周にかかる時間を短くするためにも、肢別の問題集をおすすめします。

このテキストが、行政書士試験の合格のために最も重要な役割を持っています。これだけでも合格圏内に入れると思います。使い方は、下の「テキストの使い方」で説明します。

2026年度版 みんなが欲しかった! 行政書士の肢別問題集(TAC出版)
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予想問題集(千問ノック)

行政書士試験では過去問以外からも出題されるので、過去問に出ていない重要事項にも対応できるよう、予想問題集にも取り組んでおくと役に立ちます。予想問題集は「千問ノック」がおすすめです。

まずは過去問が重要です。また、民法は問題が短く少し分かりにくいこともあるので、上で紹介した過去問の肢別問題集を3周終わらせてから、こちらに取りかかりましょう。

この千問ノックと過去問が、試験対策の大部分を占めます。

2026年度版 合格革命 行政書士 一問一答式出るとこ千問ノック(早稲田経営出版)
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市販模試

過去問題集や予想問題集は本番の問題形式ではなく、肢別の問題集なので、市販模試で本番の形式に慣れておく必要があります。

点数はあまり気にする必要はありませんが、時間を測って本番の流れに慣れておくことは大切です。どの市販模試でも本番の流れは十分わかるので、書店に在庫があるもので十分です。私はWセミナー(早稲田経営出版)の市販模試を使い、十分満足できる内容でした。

点数で悲観したり、油断したりしないようにだけ気を付けましょう。

2026年度版 合格革命 行政書士 法改正と直前予想模試(早稲田経営出版)
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記述式対策・多肢選択式対策

記述式や多肢選択式の対策は、択一式の対策の延長にあるものなので、上の過去問題集や予想問題集を繰り返し学習した後で十分です。

記述式の部分だけ取り組むのでも十分だと思います。記述式は全然分からなくても、何かしら答案を思い浮かべたり、書いたりしてから答え合わせをするようにしましょう。

問題集と同じ問題が本番で出ることはまずないので、部分点を取れるよう、自分で記述する練習をしましょう。

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テキストの使い方

ここでは、実際の勉強法を紹介します。勉強法の根拠となる研究は、記事の後半で紹介しています。科学的に効率がよくても、実際の環境では難しいこともあるので、行政書士試験に短期間で合格するための現実的な勉強法に落とし込んでいます。

基本的な考え方は、分散学習とアウトプットを重視した勉強法です。分散学習とは、同じ分野を続けて繰り返し、1つずつできるようにしていくのではなく、全体を通して学習し、同じ内容を繰り返すまでの期間をあける学習法です。分散学習の方が記憶に定着しやすいことは、実験でも確かめられています。

また、小テストを使って学習した方が記憶に定着しやすいことも実験で分かっています。そのため、行政書士試験でも一問一答など問題形式の問題集が効果的です。畳の上で泳ぎの練習をしても効果は低く、水の中で泳いでみなければ泳げるようにならないのと同じです。

過去問題集の使い方

この問題集を何周できるかが、合格に直結します。

1周目は何がなんだか分からないと思いますが、それでもどんどん進めてください。いろいろ調べたくなると思いますが、ここで時間をかけすぎると効率が悪いので、少し調べて分からないものは放置してかまいません。何度も解いているうちに、ほかの問題との関連で分かってくるものもあります。1日2時間取り組むとして、調べる時間も含めて1問平均30秒でどんどん進めましょう。1日200問以上は進めます。

2周目は、間違えた問題だけ解きましょう。○×なので半分ほどは正解しているはずで、1周目の半分以下の時間でできるはずです。

3周目は、1周目と同じように全問題を解きましょう。3周目くらいから全体像がある程度分かってきて、こなすスピードもどんどん上がっていくはずです。ただ、まだ「頭に入っている」「分かる」というレベルまでは達していないと思います。

4周目以降は、全問題に○が3個以上つくことを目標に回していきます。3周目が終わったら、予想問題集と並行して進めます。4周を超えて何周もしていると、どこかで全体像が分かるようになってきます。

時間があれば、すべての問題に○が5回つくのが理想です。○が5回ついた問題は、もう解く必要はありません。

予想問題集の使い方

予想問題集も、肢別の過去問題集と同じように回していきます。特に民法は、問題や解説が短いので何周もするのに効率がよいです。短い代わりに専門用語が増えるので、1周目や2周目は少し難しく感じると思います。しかし、少し調べながら進めることで、知識がまとまってくる効果があります。

これも、全問題に○が3つ以上つくまで繰り返し回していきましょう。○がすべて5つつくのが理想です。

過去問題集(肢別問題集)と予想問題集(千問ノック)を何周もして完璧にすれば、これだけで十分合格できます。

市販模試の使い方

過去問題集と予想問題集では、実際の形式で問題を解く練習ができないので、市販模試で練習します。過去問題集を2周した時点で、一度解いてみるとよいと思います。点数は合格点に全然届かないと思いますが、苦手な分野を意識したり、基礎知識(行政書士の業務に関し必要な基礎知識)でどれくらい得点できそうかが分かったりするので、今後の方針が立てやすくなります。

1回目の結果を見て、本番でどの分野で何点取るかの目標を立てましょう。合格へのイメージが少し湧いてくると思います。

点数自体はほとんど気にする必要はなく、見直しもそこまで神経質になる必要はありません。あくまでも問題を解く練習と時間配分の練習が主な目的で、ほかは得点配分の目安をはかる程度です。私も市販模試は、解いて軽く答え合わせをしただけです。

市販模試より、過去問題集や予想問題集に時間をかけましょう。ただし、市販模試で時間配分に問題がある場合は、問題を解く練習が必要なので、市販模試をいくつか解いて時間内に終えられるようにしましょう。普段から、一問一答をスピード感をもってこなしていくことも大切です。

記述式対策・多肢選択式対策の問題集の使い方

これは、過去問題集・予想問題集・市販模試が終わって(過去問題集と予想問題集は全問に○3つ以上)、まだ余裕がある場合に取り組みます。過去問題集と予想問題集にまだ○が5つついていなければ、並行して進めましょう。

記述の問題を実際に書いて答え合わせをする、ということを2周繰り返せば十分です。多肢選択式は、苦手意識があれば取り組んでおく程度で十分です。私は多肢選択式は解かず、記述式のみ取り組みました。

「こんな解答でいいのか」と思う問題もたまにあるので、実際に書いてみることが大切です。ただ、記述式は採点の厳しさが年度によって変わるなど得点が読みにくいので、対策に時間をかけすぎないようにしましょう。

試験までの実際のスケジュール

働きながら1ヶ月で行政書士試験に合格したときの、実際のスケジュールをまとめました。

4週間で組んでいるので、1ヶ月あればもう少し余裕があります。時間をもっと取れる方は、この内容をより完璧にすれば、合格の確率がさらに高まります。

時間があるからといって、ほかの教科書などいろいろな教材に手を出し始めると、泥沼にはまって逆に合格から遠のいてしまうので気をつけましょう。

  • 1週目(14時間):過去問題集を1日200問×7日(14時間)。まず過去問題集を1周終わらせます
  • 2週目(14時間):過去問題集の2周目(6時間)、予想問題集の1周目(8時間)
  • 3週目(35時間):予想問題集の1周目の残り(2時間)、市販模試(4時間)、過去問題集の3周目(12時間)、予想問題集の2周目(4時間)、予想問題集の3周目(9時間)、市販模試(4時間)
  • 4週目(35時間):過去問題集と予想問題集を5周目まで終わらせます(ここは個人差があると思います)。ここで時間切れであれば、ここまででも十分です。私は少し余裕があったので、記述式対策の問題集も解きました

行政書士試験当日のポイント

マークシート試験は、行政書士試験に限らず、入試やさまざまな資格試験で使われており、多くの人が経験する試験形式だと思います。私も入試やさまざまな資格試験でマークシートを経験してきました。その経験から、マークシート試験におすすめの鉛筆を紹介します。

試験中に余計なストレスを感じて集中が途切れてしまわないよう、マークシート用の鉛筆にはこだわりましょう。

行政書士試験で使える筆記用具

行政書士試験では、「BかHBの黒鉛筆又はシャープペンシル」を使うことになっています(一般財団法人行政書士試験研究センターの案内による)。それ以外の筆記用具で解答すると、判読が難しくなってしまいます。

マークシートには鉛筆がおすすめ

行政書士試験ではシャープペンシルも使えますが、私は鉛筆をおすすめします。

経験上、シャープペンシルは、マークシート用のものでも芯が細く感じますし、芯の残りが見えにくかったり、芯が詰まったりするおそれがあります。時間をかけずに安心してマークを塗りつぶせるのは鉛筆です。

鉛筆の濃さはHB

鉛筆の濃さのHはハード(硬い)、Bはブラック(黒い)の意味で、Bの方が濃く、Hの方が薄い代わりに芯が硬くなります。

薄すぎる鉛筆ではマークが読み取られないことがあり、芯が硬い鉛筆ではマークした部分にくぼみができて、消した跡が残ってしまうことがあります。一方で、濃すぎる鉛筆は、消しきれずに残ってしまうおそれがあります。

行政書士試験ではBかHBの鉛筆が使えますが、ほかの試験でもHBが指定されていることが多いので、普段からHBの鉛筆に慣れておくと安心です。

鉛筆の軸は三角軸

鉛筆の軸には、丸軸、六角軸、五角軸、四角軸、三角軸などさまざまなものがありますが、どれがよいのでしょうか。

丸軸の鉛筆は転がっていってしまうため、試験には不向きです。

六角軸の鉛筆は一番スタンダードで、書きやすさには問題ありません。ただ、丸軸ほどではありませんが転がりやすく、試験会場の机によっては使いづらいこともあるので、避けた方がよいと考えています。

五角軸の鉛筆は、「ごかく」が「ごうかく(合格)」に通じる縁起物として販売されていますが、濃さが明記されていないこともありますし、芯の質にも不安が残ります。実際に使ってみると指が痛くなったり、疲れたりしやすいので、お守り代わりに持っていく程度にして、マークにはほかの鉛筆を使いましょう。

四角軸はあまり見かけないと思いますが、五角軸と同じく書きにくいのでおすすめしません。

三角軸の鉛筆は、まず転がることがほとんどなく安定していて安心できます。書き方の練習用の鉛筆でも広く使われている形状なだけあって書きやすく、むしろ六角軸より手に収まる安定感があります。

また、太軸の方が疲れにくいので、できるだけ太軸の鉛筆を使いましょう。

おすすめの鉛筆

以上のことから、マークシートには、HBで太軸の三角軸の鉛筆がおすすめです。

私が使っているのは、ステッドラーの三角軸の鉛筆です。3本の指が無理のない位置にくるように作られていて、太軸なこともあり、長時間マークしても疲れにくいです。

私も、行政書士試験やセンター試験、TOEICなどを、この鉛筆で受けました。実際に転がることもなく、手に余計な負担もかからず、試験に集中することができました。皆さまの試験がうまくいくことを祈っています。

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試験本番で緊張しない方法

プレッシャーで頭の中が真っ白になってしまうのは、「失敗したらどうしよう」などの不安が、脳のワーキングメモリをいっぱいにしてしまうことが原因の一つと考えられています。

ワーキングメモリは、日本語では作業記憶や作動記憶などと呼ばれ、少しの間だけ情報を頭の中に覚えておき、同時に処理するときに使われる能力です。考えるときや計算するとき、文章を理解するときなど、さまざまな場面で使われています。試験本番でこの働きが妨げられてしまうと大変です。

Beilock & Carr(2005)の実験では、ワーキングメモリの能力が高い人ほど、プレッシャーがかかったときに成績が下がりやすいことが報告されています。普段の実力が高い人ほど、本番の緊張への対策が大切だといえます。

不安を紙に書き出す

そこで、紙とペンだけでできる方法を紹介します。

その方法とは、いま頭の中に引っかかっている不安を「すべて書き出す」ことです。誰かに見せるものではないので、深く考えずに、頭の中にある不安を紙に書いてみてください。

Ramirez & Beilock(2011)の実験では、試験の直前に10分間、試験への不安を書き出した学生は、書き出さなかった学生よりも成績がよく、特に不安が強い学生ほど効果が大きかったと報告されています。書き出すことで、ワーキングメモリを占めていた不安を外に追い出し、試験に集中しやすくなると考えられています。試験の前日の夜や、当日の試験開始前に試してみてください。

行政書士試験対策の講座について

行政書士試験に向けて一番大切なことは問題を解くことなので、予備校や塾などは基本的におすすめしていません。

ただ、試験までにある程度余裕がある場合は、問題を解くハードルを下げ、問題集を周回するスピードを上げるために、講座を利用するのも一定の効果があります。そこでおすすめなのが、オンライン講座のスタディング 行政書士講座(旧:通勤講座)です。スマートフォンで動画を見るタイプで、再生速度も変えられるので効率がよいです。通学型の予備校と比べて費用を抑えられるので、苦手なところだけを見るような使い方でも十分役に立つと思います(最新の価格は公式サイトでご確認ください)。

あくまでも、問題をスムーズに解くための準備が目的です。一問一答などはしっかりと何度も解く必要があるので、講座を見ただけで満足しないように注意してください。

勉強法についての実験・根拠

単語カードと本で勉強する学生

ここからは、具体的な方法ではなく、上のような勉強法をとった根拠となる研究を紹介します。私は時間などの制約もあって、上で紹介したような勉強法をとりましたが、人それぞれ条件は違うと思います。ここで紹介する研究も踏まえて、自分なりの勉強法で学習を進めていくとよりよいと思います。

集中学習と分散学習とは?

学習の方法には、大きく分けて「集中学習」と「分散学習」があります。

  • 集中学習:理解してすぐに、同じ内容やよく似た課題を何度も続けて学習する
  • 分散学習:一度理解してから、時間の間隔をあけて復習する

どちらがより効果的だと思いますか? この答えは、すでに多くの研究で示されています。

エビングハウスの研究から始まる分散学習の効果

集中して学習するよりも、間隔をあけて分散して学習した方が、後のテストで思い出しやすいことは広く認められており、この効果を「分散効果」といいます。

分散効果は古くから知られており、最初に実験で示したのは、無意味な文字列を記憶させたエビングハウスの研究です(Ebbinghaus, 1885)。この研究は「エビングハウスの忘却曲線」として広く知られています。

その後、分散効果は、単語の暗記をはじめ、さまざまな分野で確認されています。たとえば、次のような学習内容で確認されています。

  • 単語(Glenberg & Lehmann, 1980 など)
  • 文章(Glover & Corkill, 1987)
  • 足し算(Ruch, 1928)
  • 数学の公式(Gay, 1973)
  • 理科の専門用語の意味(Reynolds & Glaser, 1964)

ところが、これほど古くから効果が示されているにもかかわらず、多くの学習者は分散学習よりも集中学習の方が効果的だと感じています。Zechmeister & Shaughnessy(1980)は、学習者が、分散学習よりも集中学習の方が効果的だと信じてしまうことを報告しています。

ここからは、もう少し新しい実験を具体的に見ていきます。

集中して長く勉強しても、長期の記憶には残りにくい

Rohrerら(2005)は、学生に国名と都市名の組み合わせを覚えさせ、勉強量を多くしたグループと通常のグループを比べました。その結果、1週間後のテストでは勉強量の多いグループが上回ったものの、時間がたつにつれて、その差は小さくなっていきました。

集中して勉強量を増やしても、長期の記憶にはつながりにくいということです。受験や資格試験では長期の記憶が必要なので、集中学習だけでは効率的とはいえません。

記憶の定着には分散学習が効果的

ヒントになるのが、単語カードを使った実験です。Kornell(2009)は、単語カードを使って学習する方法を比べました。

  • 20枚のカードを1つの束にまとめて学習する(同じカードに出会うまでの間隔が長い)
  • カードを5枚ずつの束に分けて、束ごとに繰り返す(同じカードに出会うまでの間隔が短い)

どちらも学習量は同じです。結果は、約9割の参加者で、20枚を1つの束にした(間隔を長くした)方が成績がよくなりました。ところが、最初の学習の後に「どちらが効果的だったか」を尋ねると、約7割の参加者は、5枚ずつの束の方が効果的だったと答えていました。

感覚的には、少しずつ確実に覚えていく方法がよいように思えますが、実際は、一度に多くの範囲を学習して、同じ問題に出会う間隔を長くする方が効果的なのです。多くの人がこの方法をとらないのは、直感的には集中学習の方が効果的に感じられてしまうためです。

復習はいつすればよいのか

行政書士試験のように範囲が広い試験では、すべての範囲を試験直前にまとめて復習することはできません。では、いつ復習するのが効率的なのでしょうか。

Cepedaら(2008)は、1,350人以上の参加者を対象に、最初の学習から復習までの間隔と、復習から最終テストまでの期間の組み合わせを変えて、成績を調べました。

その結果、学習してすぐに復習するのは効果が低く、最終テストまでの期間に応じて、ほどよい間隔をあけて復習すると成績が最もよくなりました。最適な間隔は、テストまでの期間が1週間なら、その2〜4割程度、テストまでの期間が長くなるほど、その割合は小さくなっていきました。たとえば、2ヶ月後に試験があるなら、1〜2週間ほど間隔をあけて復習するのが一つの目安になります。多少前後しても効果は大きく変わらないので、おおよその目安として考えればよいでしょう。

テストを受けること自体が学習になる

Karpicke & Roediger(2008)は、参加者にスワヒリ語の単語を学習させ、その後の復習(見るだけの学習)と小テストのやり方を変えた4つのグループで、最終テストの成績と勉強時間を比べました。

  • グループ1:小テストの後、全単語を復習し、全単語で再テストする
  • グループ2:小テストの後、間違えた単語だけ復習し、全単語で再テストする
  • グループ3:小テストの後、全単語を復習し、間違えた単語だけ再テストする
  • グループ4:小テストの後、間違えた単語だけ復習し、間違えた単語だけ再テストする

グループ1とグループ2は、勉強時間に差があったにもかかわらず、最終テストの成績はほぼ同じでした。テストの量が同じであれば、すでに正解している問題を見直しても、成績にはほとんど影響しないということです。

一方、グループ3は、グループ2と同じくらいの時間をかけていたのに、再テストを間違えた単語だけに絞ったため、成績はグループ2の半分以下でした。見るだけの復習より、小テストに時間を使う方が、同じ時間でも成果が出るのです。

教科書や参考書を読んでインプットするだけでは効果が小さく、小テストで自分で思い出す(アウトプットする)復習こそが、最も効率的で点数に結びつく方法だといえます。グループ4のやり方は、勉強時間はかかりませんが、その分点数も伸びにくい方法です。

一問一答や問題集の効率的な使い方

小テストに近い教材として、一問一答や選択式の問題集があります。これまでの研究結果からも、これらの教材は効率のよいものです。

多くの受験生は、1周目に時間をかけすぎてしまいます。一問ずつ解いては正解・不正解を確認し、すべての解説を読むので時間がかかるのです。

数ページ分の問題を、時間を決めて全部解いてから答え合わせをすると、ずいぶん早く終わります。終わったら正誤をチェックします。正解した問題は、今の感覚で答えを出せているので、試験で同じ問題が出ても正解できる可能性が十分あります。解説を読む必要はありません。間違えた問題の解説は確実に効果のある勉強なので、しっかり読んでおきましょう。

数ページをまとめて解く

Pyc & Rawson(2009)の実験でも、同じ問題を思い出すまでの間隔が短いと、その場では簡単に正解できても、後の最終テストでは成績が大きく下がることが報告されています。また、ある程度正解できるようになると、それ以上繰り返しても効果が小さくなることも示されています。

そのため、数ページ分の問題を、時間を決めてまとめて解くと、同じ問題を見直すまでの間隔が長くなり、効果的だといえます。

1ページあたりの量は問題集によってまちまちですが、問題を解くのに20分、解説を読むのに5分程度の比率がちょうどよいです。この合計25分という時間は、ポモドーロ・テクニックに基づいています。

ポモドーロ・テクニックとは

ポモドーロ・テクニックとは、1980年代後半にフランチェスコ・シリロが考案した時間管理の方法で、やり方はとても簡単です。

「25分集中して5分休憩」を1セットとし、4セット終えたら、15〜30分程度の長めの休憩を取ります。これを繰り返すのがポモドーロ・テクニックです。

1冊にしっかり時間をかける

「1冊だけでは全然足りない」と言う人は、その1冊をしっかり身につけられていないことが多いです。長期の記憶にするには分散学習が効果的で、分散学習は間隔をあける必要があるため時間がかかります。

「これだけで足りますか?」という質問は、実際にその1冊をやりきってからにしましょう。そうすれば、その質問が必要なかったことが実感できるはずです。

実際は、試験までにできることは限られており、いろいろな教材に手を出す余裕は本当はまったくありません。1冊をしっかり分散学習してください。

ちなみに、答えが別冊の問題集であれば、問題の順番をバラバラにして解くと、よりよい分散学習ができます。年度別の過去問や模擬試験は、最初から問題がある程度バラバラに並んでいるので、その点でも効果的です。

模擬試験などは、テストの経験を積むという点でも、分散学習という点でも、1回分を全部解いてから答え合わせをすると効果的です。より直接的な実験もあるので紹介します。

答え合わせはまとめて、少し時間をおいてから

Butler & Roediger(2008)は、学生に多肢選択式のテストを受けさせ、テストの有無や答え合わせのタイミングによって、次の4つのグループに分けて比べました。

  • グループ1:テストなし
  • グループ2:テストあり、答え合わせなし
  • グループ3:テストを1問解くごとに答え合わせ
  • グループ4:テストを全部解いてから、まとめて答え合わせ

その結果、答え合わせをしていないグループ2でも、テストをしなかったグループ1より成績がよくなりました。テストを受けること自体に学習効果があるということです。また、グループ3とグループ4を比べると、1問ごとに答え合わせをするより、まとめて解いてから答え合わせをした方が効果的でした。

Metcalfeら(2009)の、答え合わせのタイミングについての実験でも、すぐに答え合わせをしたグループより、少し時間をおいてから答え合わせをしたグループの方が、最終テストの成績がよくなりました。過去問を解き終わって疲れたら、しっかり休んでから答え合わせをしても大丈夫です。

佐藤 一清

執筆者

佐藤 一清

行政書士法人 日本法務 代表社員・行政書士。建設業許可・風俗営業関係の届出・在留資格申請など許認可業務を主な業務とし、令和8年8月に個人事務所 日本法務事務所から法人化。正確さとスピードを両立した法務サポートで、事業者のスタートアップを支える。(日本行政書士会連合会 登録番号 18081237)

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