非常勤役員でもOK?経営業務管理責任者に必要な経験と注意点について
公開日 2019/12/12
更新日 2026/10/12
建設業の許可申請を行う際に必要となる要件の1つに、「経営業務の管理を適正に行う能力があること」があります。以前は「経営業務の管理責任者(経管)が常勤していること」と呼ばれていた要件です。この要件を満たさなければ、建設業許可を取得することはできません。
この記事では、2020年10月の改正後のルールに沿って、どのような経験があればこの要件を満たせるのか、また「非常勤役員だった期間」は経験として認められるのかを解説します。
経営業務管理責任者とは
経営業務管理責任者とは、建設業を営む会社や個人事業において、対外的に責任を持つ立場で、建設業の経営業務を総合的に管理する人をいいます。建設業においては、1件あたり数千万円単位の工事を請け負うことも珍しくありません。そのため、建設業の経営について一定の経験を持つ人が経営に加わっていることが、許可の要件とされています。
法人の場合は常勤の役員、個人事業の場合は事業主本人または登記された支配人のうち1人が、一定の経験を持っている必要があります。法令上は、この人を「常勤役員等」と呼びます。なお、法人の「役員」とは、取締役や執行役、持分会社の業務を執行する社員などをいい、監査役や会計参与は含まれません。
また、他の建設業者の技術者や、宅地建物取引士など、他の法令で専任が求められている人は、原則として経営業務管理責任者を兼ねることはできません。
2020年10月の改正で変わったこと
2020年10月1日に施行された改正で、この要件は大きく見直されました。主な変更点は次のとおりです。
- 以前は「許可を受けようとする業種」での経験は5年、「それ以外の業種」での経験は6年が必要でしたが、業種による区別がなくなり、建設業での経験であれば5年でよくなりました。
- 1人の経験だけでなく、常勤役員等とそれを補佐する人の「体制」で要件を満たす方法が新しく設けられました。
- 適切な社会保険への加入も、許可の要件になりました。
改正前の「業種ごとに5年・業種以外は6年」という説明は、今は当てはまらないので注意しましょう。
常勤役員等の経験で要件を満たす方法
常勤役員等のうち1人が、次のいずれかに当てはまれば、要件を満たします。
- (1)建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者(取締役や個人事業主など)としての経験がある
- (2)建設業に関し、経営業務の管理責任者に準ずる地位(取締役会の決議などで経営業務を執行する権限の委任を受けた執行役員など)として、5年以上経営業務を管理した経験がある
- (3)建設業に関し、経営業務の管理責任者に準ずる地位として、6年以上経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験がある
(3)には、たとえば個人事業主の配偶者や子どもが、専従者として6年以上経営業務を補佐してきた場合などが含まれます。
いずれの経験も、1つの会社で連続している必要はなく、複数の会社や事業での期間を合算することができます。
常勤役員等と補佐する人の体制で要件を満たす方法
上の(1)〜(3)に当てはまる人がいない場合でも、次の体制をとれば要件を満たすことができます。
- 常勤役員等が、建設業の役員等としての経験が2年以上あり、かつ、役員等に次ぐ地位(財務・労務・業務運営の担当に限る)での経験と合わせて5年以上ある、または建設業以外も含めた役員等としての経験が5年以上ある
- そのうえで、その常勤役員等を直接に補佐する人として、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験がそれぞれ5年以上ある人を置く(1人が複数の分野を兼ねることもできます)
この方法は証明する書類が多くなりやすいため、事前に許可行政庁や行政書士に相談しながら準備することをおすすめします。
非常勤役員でも経営業務管理責任者の要件を満たすのか
法人の役員の中には、非常勤役員としてその法人の経営に関わる人もいます。会社法上は、役員全員が非常勤であっても問題はありません。それでは、過去に建設会社の非常勤役員だった期間は、上の「5年以上の経験」に含めることができるのでしょうか。
過去の非常勤役員の期間をどのように扱うかは、許可行政庁(都道府県など)によって判断が異なる場合があります。経験として認められる場合でも、その期間に実際に経営業務に関わっていたことを示す書類が求められることがあります。この点は、事前に申請先の窓口で確認するか、行政書士に相談するようにしましょう。
なお、非常勤でもよい可能性があるのは、あくまでも過去の経験についての話です。これから許可を受けようとする会社で、要件を満たす人として届け出る場合は、常勤でなければならないため、混同しないように注意しましょう。
まとめ
建設業を営む会社や事業者にとって、経営業務の管理を適正に行う体制は欠かせないものです。2020年10月の改正で、業種による年数の区別がなくなり、補佐する人を置く「体制」で要件を満たす方法も加わりました。以前より要件を満たしやすくなった一方で、どの方法で申請するかによって必要な書類が変わります。
以前に非常勤役員だった人の経験を使おうとする場合は、申請先によって扱いが異なることがあるため、必ず事前に確認してから手続きをするようにしましょう。
執筆者
佐藤 一清
行政書士法人 日本法務 代表社員・行政書士。建設業許可・風俗営業関係の届出・在留資格申請など許認可業務を主な業務とし、令和8年8月に個人事務所 日本法務事務所から法人化。正確さとスピードを両立した法務サポートで、事業者のスタートアップを支える。(日本行政書士会連合会 登録番号 18081237)
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