永住許可ガイドラインの改定で何が変わる?2027年4月からの年金・日本語B1・配偶者特例と、すでに始まった収入基準

永住許可ガイドラインの改定で何が変わる?2027年4月からの年金・日本語B1・配偶者特例と、すでに始まった収入基準

公開日 2026/10/28

更新日 2026/10/28

# 永住ビザ

この記事でわかること

  • 2026年10月1日に改定された「永住許可に関するガイドライン」の主な変更点
  • 申請した日ごとに使われる基準(2026年3月31日まで/2027年3月31日まで/2027年4月1日以降)
  • すでに使われている世帯収入の基準と、「年収575万円」が入管庁の示した額ではないこと
  • 2027年4月1日以降の申請で加わる日本語B1相当、年金の見込額、日本を離れていた期間などの基準
  • 日本人・永住者の配偶者の特例が「結婚5年・日本に3年」に延びることと、永住者の在留資格の取消し事由の追加
  • 申請の時期の考え方と、今からできる準備

永住許可を考えている人にまず確かめてほしいのは、「自分がどの基準で審査されるか」です。2026年10月1日の改定で、使われる基準は申請した日によって3つに分かれました。

2027年4月1日以降の申請は新しいガイドラインのすべてで審査されます。これから2027年3月31日までに申請する場合も、世帯の収入については新しい基準がかかります。

この記事では2026年10月時点の出入国在留管理庁の資料をもとに、申請日ごとの基準、新しく加わる基準の中身、配偶者などの特例の変更と取消し事由の追加、申請の時期の考え方と今からできる準備について解説します。

永住許可ガイドラインと2026年10月1日の改定

「永住許可に関するガイドライン」は、出入国在留管理庁(入管庁)が永住許可の審査で見る点について、基本的な考え方を示したものです。許可するかどうかはガイドラインに書かれた点も含めて、個々の事情を総合して判断されます。

このガイドラインが2026年10月1日に改定されました。改定の前には8月4日から9月3日まで意見募集が行われ、5,180件の意見が寄せられています。改定によって要件ごとの考え方が具体的になり、世帯の収入、年金、日本語、日本の制度やルールの理解、子の就学などが、審査で見る点としてはっきり書かれました。

法律で定められた3つの要件

永住許可の要件は、入管法第22条第2項で定められています。素行が善良であること(素行の要件)、独立の生計を営むに足りる資産または技能があること(独立の生計の要件)、その人の永住が日本の利益に合うと認められること(国益の要件)の3つです。ガイドラインによると、素行の要件は法律を守り、社会的に非難されない生活をしていることをいいます。

独立の生計の要件は公共の負担になるおそれがなく、将来も安定した生活を送れると見込まれることをいいます。日本人、永住者、特別永住者の配偶者や子は、素行の要件と独立の生計の要件を満たす必要がありません。難民や補完的保護対象者の認定を受けた人などは、独立の生計の要件が不要です。

2027年4月1日には、2024年に成立した改正入管法のうち、この条文を改める部分が施行されます。条文には「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」という文言が加わります。

この文言が指すのは、入管法の義務を守ることと、税金や社会保険料などを払うことです。ガイドラインでは、この文言はこれまでのガイドラインの内容を法律上の要件としてはっきりさせたもので、それより前の審査でも考慮されていたと説明されています。

「我が国への貢献」に関するガイドラインは、2027年3月31日で廃止されます。どんな人が貢献を認められるかは見直され、新しいガイドラインの第4に定められました。在留資格「永住者」そのものの基本は、在留資格とは?全29種類の一覧の永住者の章で説明しています。

申請日ごとに使われる基準

どの基準で審査されるかは、申請した日で決まります。入管庁の「永住許可」のページ(2026年10月1日掲載)は、次の3つに分けています。

申請した日で使われる基準が変わります
図1 申請した日ごとに使われる永住許可のガイドライン(出入国在留管理庁の「永住許可」のページをもとに作成)
  • 2026年3月31日までに申請した人は、2026年2月24日に改訂されたこれまでのガイドラインで審査されます。
  • 2026年4月1日から2027年3月31日までに申請した人(これから申請する人を含みます)は、これまでのガイドラインで審査されます。ただし、世帯の収入と公共の負担についての部分だけは、新しいガイドラインが適用されます。
  • 2027年4月1日以降に申請する人は、新しいガイドラインのすべてで審査されます。

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収入の基準が先に使われている理由

収入の部分を先に使う根拠は、ガイドラインの第6です。第6では、改定後のガイドラインを2027年4月1日以降の申請から適用すると定められています。

そのうえで、世帯の収入(第2の4(2))と公共の負担とならないこと(第2の5(7))は、「改定日から6か月前の日以降の申請であって、かつ、改定日において申請中である案件にも適用」するとされています。このため、2026年4月から9月に申請して10月1日の時点で審査中だった人にも、収入の新しい基準があてはめられています。

先に適用する理由は、入管庁が意見募集の結果の中で説明しています。永住許可は許可するかどうかを決める時点の事情を総合して判断するため、審査の途中で見る点が変わったときは、審査中の案件にも新しい点をあてはめるのが適当だという考え方です。そのうえで、審査にかかる期間の目安(標準処理期間)が4か月から6か月であることをふまえ、対象を改定日の6か月前以降に申請された案件に限ったとされています。

これまでの基準のおさらい

2027年3月31日までの申請には、2026年2月24日に改訂されたガイドラインが使われます。このガイドラインでは原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち5年以上は就労資格か居住資格で在留していることが求められます。ここでいう就労資格から外れるのは、技能実習と特定技能1号だけです。

罰金刑や拘禁刑などを受けていないことが必要です。税金、公的年金と公的医療保険の保険料、入管法の届出などの公的義務を、きちんと果たしていることも求められます。税金や保険料を申請の時点で納めていても、もともとの期限までに納めていなかった場合は、原則として不利に評価されます。

今の在留資格で、最長の在留期間を持っていることも条件です。2027年3月31日までの申請では、在留期間「3年」も最長として扱われます。今の在留資格の上陸許可基準などに合っていることと、公衆衛生の面で問題がないことも求められます。

配偶者や定住者、高度人材などには、10年より短い在留で申請できる特例もあります。新旧の違いは、後ほど「10年待たずに申請できる特例の変更」の表で示します。2026年4月1日から2027年3月31日までの申請でも、世帯の収入と公共の負担については、後ほど「すでに始まった世帯収入の基準」で説明する新しい基準が使われます。

すでに始まった世帯収入の基準

2026年4月1日以降の申請には、独立の生計の要件のうち収入について、新しい基準がすでに適用されています。収入は申請する人ひとりではなく世帯の単位で見られます。

世帯年収の水準

新しい基準では、申請する人の世帯の年収が「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準」(年収水準)に、申請の時点で継続して達しているかが確認されます。ひとり暮らしの人は、本人の年収がそのまま世帯の年収になります。

世帯に数える人と数えない収入

ここでいう世帯は住居と家計を共にしている人の集まりです。世帯の年収は申請する人の年収と、家計を共にする家族の年収を合計した額になります。

ただし、家族滞在など就労資格ではない在留資格の家族の収入は合計しません。資格外活動許可を受けて働いていても、その収入は例外的で限られたものだからです。また、成人しているなど親の扶養から外れている人が申請するときは、親の収入を含めずに判断されます。

申請する人が扶養している親族は、一緒に住んでいなくても、外国に住んでいても、世帯人数に数えられます。世帯が5人以上になる場合は、年収水準に生活費などの増加分が上乗せされます。

どういう場合に「扶養している」と判断されるかは、示されていません。そのため、海外の親族を税金の扶養控除に入れている人は、その人数も世帯人数に数えられるものとして準備しておくと安全かもしれません。

基準の金額と「575万円」の出どころ

年収水準の具体的な金額はガイドラインにも入管庁のページにも書かれていません。意見募集の結果によると、年収水準と、後ほど「将来の年金の見込額」で説明する受給年金水準、補填資産額の具体的な額は、審査の実効性と制度の適正な運用を確保するため、公表しない予定です。

インターネットでよく見る「年収575万円」は、厚生労働省の2025年国民生活基礎調査にある、1世帯当たりの平均所得金額575万2千円(2024年の所得)にあたる数字です。入管庁が示した基準額ではなく、世帯人数ごとの金額でもありません。

公共の負担とならないこと

国益の要件のうち「公共の負担とならないこと」(第2の5(7))も、世帯の収入と同じく2026年4月1日以降の申請に適用されています。独立の生計の要件を満たす人は、この点でも積極的に評価されます。

日本人や永住者の配偶者や子のように、独立の生計の要件が不要な人でも、この点は審査の対象になります。世帯が生活保護などの公的な支援に頼っているか、そうなるおそれが現実的で、そうなったことに特段の事情がなければ、不利に評価されることがあります。その判断は、家族が一緒に安定して日本に住めることや人道的な配慮を重んじて、総合的に行われます。

2027年4月1日以降の申請で加わる基準

2027年4月1日以降の申請からは、新しいガイドラインのすべてが適用されます。2027年3月31日までの申請と比べると、主に次の点が変わります。

項目 2027年3月31日までの申請 2027年4月1日以降の申請
世帯の収入 2026年4月1日以降の申請は、2027年4月以降と同じ新しい基準 世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているか(金額は公表の予定なし)
年金 保険料を期限どおりに納めていること それに加えて、将来の年金の見込額が、平均を上回る年収で30年間厚生年金に加入した場合の水準に達しているか(足りない分は金融資産で補える)
日本語 基準なし B1相当以上(求められない人あり)
日本の制度やルールの理解 基準なし 入管庁長官が指定する方法で確認
子どもの就学 基準なし 学齢期の子が小学校・中学校に通っているか
日本を離れていた期間 ガイドラインに日数の基準はない 過去10年以内に、合理的な理由なく1回で半年以上、または通算2年6か月以上離れていると原則として不利
最長の在留期間 3年も最長として扱う 3年は経過措置の条件を満たす場合だけ
「5年以上の就労資格」から外れるもの 技能実習、特定技能1号 技能実習、育成就労、特定技能1号、企業内転勤、一部の特定活動
配偶者の特例 結婚3年以上で日本に1年以上 結婚5年以上で日本に3年以上
税金と社会保険料 期限どおりに納めていること 同じ考え方に加え、過去の滞納処分も原則として不利(世帯の単位で見る)

将来の年金の見込額

将来受け取れる年金の見込額が、「受給年金水準」に達しているかが見られます。見込額は申請する人の年齢、これまでの年金の加入状況(働き方、加入期間、その間の平均年収など)、申請時点の年収から推計されます。受給年金水準とは日本人世帯の平均収入を上回る年収で30年間働き、その間ずっと厚生年金に加入していた場合に受け取れる年金の見込額です。

見込額が足りなくても、不足する生活資金を補える金融資産(補填資産)があれば、水準に達しているものと評価されます。補填資産の基準は申請時の年齢で変わり、若い人ほど低くなります。

配偶者がいる場合は、夫婦の見込額を合計して比べます。比べる水準には、配偶者が同じ期間、扶養される第3号被保険者だった場合の年金額が上乗せされます。

受給年金水準と補填資産の具体的な額は、公表される予定がありません。意見募集の結果では、永住の申請のために一時的に用意した金融資産は、補填資産として認めない予定であることも示されています。

そうした資産ではないことがわかる資料の提出も、求められる予定です。自分の年金の加入記録と見込額は、日本年金機構の「ねんきんネット」で確かめられます。

日本語能力B1相当以上

申請の時点で、B1相当以上の日本語能力があるかが確認されます。B1は、文化審議会国語分科会がまとめた「日本語教育の参照枠」(2021年10月12日)のレベルの一つです。6段階のうち下から3番目で、仕事や学校、娯楽などでふだん出合う身近な話題について要点を理解でき、身近で関心のある話題についてつながりのある簡単な文章を作れる程度です。

日本人の配偶者も対象です。入管庁は意見募集の結果の中で、「日本人の配偶者等」の在留資格の人をこの基準から外すことは相当ではないとの考えを示しています。

次の人にはB1相当の日本語能力は求められません。

対象 条件
高度人材とその家族 ポイント計算で70点以上(または80点以上)と認められて在留している人、特別高度人材として在留している人と、それぞれの家族
日本で義務教育などを受けた人 学校教育法の初等教育または中等教育を累計6年以上受けた
永住者の子 育てている親がB1相当以上で、子が日本で生まれた
そのほか 本人にB1を求める必要性や相当性があるとはいえない場合

どの試験や書類で証明するかは、2026年10月時点で示されていません。日本語能力の評価方法やそれに使う試験などは、2027年4月の運用開始までに入管庁が検討して公表する予定です。

日本の制度やルールの理解

日本の制度やルールの理解が乏しい人や、理解する意欲に欠ける人は、審査で不利になります。理解の程度は入管庁長官が指定する方法で確認され、入管庁の「生活・就労ガイドブック」に書かれていることを中心に、一定の水準に達しているかが見られます。確認の方法は、2027年4月の運用開始までに検討される予定です。

学齢期の子の就学

義務教育の年齢の子を育てている人は、その子が小学校か中学校に通っていることが求められます。申請する本人が義務教育の年齢の場合は、本人が通っている必要があります。

インターナショナルスクールや外国人学校に通う場合の扱いは、ガイドラインに書かれていません。この点について入管庁は、許可するかどうかを特定の点だけで決めず、申請する人ごとの事情を総合して判断すると回答しています。

日本を離れていた期間

申請前の10年の間に、合理的な理由なく、1回の出国で半年以上日本を離れていた場合や、合計で2年6か月以上離れていた場合は、原則として不利に評価されます。どのような理由が「合理的な理由」にあたるかの具体例は、示されていません。

入管庁によると、個々の事案に応じて判断されます。長い海外出張や家族の看病などで日本を離れた人は、その理由がわかる記録を残しておくと説明しやすくなります。

最長の在留期間

今の在留資格で最長の在留期間(多くの在留資格では5年)を持っていることが求められます。2027年4月1日以降の申請では、在留期間「3年」は原則として最長として扱われなくなります。

経過措置として、2027年3月31日の時点で在留期間「3年」を持っている人は、2027年4月1日以降に行う最初の永住許可申請で、その3年の在留期限までに審査の結果が出る場合に限り、その「3年」が最長の在留期間として扱われます。期限までに結果が出ないと経過措置は使えないので、3年の期限が近い人は、審査期間を見込んで早めに申請する必要があります。

「就労資格」の範囲の変更

原則10年の在留のうち5年以上は、就労資格か居住資格で在留していることが求められます。新しいガイドラインでは、ここでいう就労資格から、技能実習、育成就労、特定技能1号、企業内転勤、一部の特定活動が外れます。企業内転勤で在留していた期間は、2027年4月1日以降の申請では「5年以上の就労資格」に数えられません。

特定活動は指定された活動の内容によって扱いが分かれます。主な例は次のとおりです。

区分 主な例
「10年」の期間に数えない 継続就職活動、就職内定者、日本の大学等を卒業して起業活動をする留学生、難民認定等の手続中、本国の情勢不安を理由に在留が認められている人
就労資格に数える 告示6号(アマチュアスポーツ選手)、8号(国際仲裁代理)、36号(特定研究等活動)、37号(特定情報処理活動)、46号(本邦大学等卒業者)、EPAの看護師・介護福祉士(候補者の期間は除く)
就労資格に数えない 告示5号・5号の2(ワーキングホリデー)、9号(インターンシップ)、日本の高校を卒業して就職した人

そのほかに見られること

税金や社会保険料は、申請の時点で未納がなくても、過去に滞納処分を受けたことがあるなど、きちんと払っていなかった時期があれば原則として不利に評価されます。この点は世帯の単位で見られます。住居地の届出などの入管法上の義務については、申請の時点で違反している場合だけでなく、過去の違反がわかった場合も、原則として不利に扱われます。

拘禁刑や罰金刑を受けたことがある人と、少年法による保護処分を受けている人は、原則として不利に評価されます。上陸拒否事由にあたる人や、今の在留資格の上陸許可基準などに合っていない人も、審査で不利になります。

また、2026年1月23日に政府が決めた「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」に挙げられた施策への貢献も、審査で見る点の一つになります。総合的対応策には、特定在留カードなどの普及や、日本語や日本の制度・ルールを学ぶ環境の整備が挙げられています。

10年待たずに申請できる特例の変更

原則10年の在留を求めない特例のうち、2027年4月1日以降の申請で年数が延びるのは、日本人、永住者、特別永住者の配偶者と実子などです。配偶者は、2027年3月31日までの申請では、実体を伴った婚姻生活が3年以上続き、日本に引き続き1年以上在留していることが条件です。2027年4月1日以降の申請では、婚姻生活が5年以上、日本での在留が引き続き3年以上に延びます。

実子などは、日本での在留が1年以上から3年以上に延びます。定住者、難民、高度人材などの特例は変わりません。

対象 2027年3月31日までの申請 2027年4月1日以降の申請
日本人・永住者・特別永住者の配偶者 実体のある婚姻生活3年以上で、日本に引き続き1年以上 実体のある婚姻生活5年以上で、日本に引き続き3年以上
その実子など 日本に引き続き1年以上 日本に引き続き3年以上
定住者 定住者で5年以上 5年以上(変わらず)
難民・補完的保護対象者 認定後5年以上 認定後5年以上(変わらず)
高度人材(70点以上) 3年以上 3年以上(変わらず)
高度人材(80点以上)・特別高度人材 1年以上 1年以上(変わらず)
地域再生計画の区域で特定活動(36号・37号)に従事し、貢献が認められる人 3年以上 3年以上(変わらず)
構造改革特区の特定事業などに従事し、貢献が認められる人 記載なし 3年以上
我が国への貢献が認められる人 5年以上(別のガイドライン) 5年以上(新しいガイドラインの第4。対象となる類型は見直し)

入管庁は意見募集の結果の中で、結婚3年・在留1年では、特例の前提となる婚姻の実態を確認するには十分でないと説明しています。そのため、婚姻の実態や婚姻が続いていることを十分に確認できる期間として、5年と3年に延ばされました。

構造改革特区の特例は2026年2月24日改訂版の特例の一覧にはなかった項目です。

我が国への貢献の特例は、どんな人が対象になるかが見直されました。そのため、これまでの対象にあたる人は、2027年3月31日までに申請するかどうかで扱いが変わることがあります。

また、新しいガイドラインでは、在留特別許可または上陸特別許可を受けた人(ガイドラインでは「上陸拒否事由該当者に限る」とされています)には、これらの特例は適用されません。許可を受けたあと、原則どおり引き続き10年以上の在留が求められます。

2027年4月から加わる永住者の在留資格の取消し事由

永住者の在留資格は今でも不正な手段で永住許可を受けた場合などには取り消されることがあります。2027年4月1日には、取り消せる場合を増やす改正入管法の規定が施行されます。

加わるのは、入管法第22条の4第1項の第8号と第9号です。第8号は、入管法で定められた義務を守らない場合と、税金や社会保険料などの公租公課をわざと払わない場合です。義務を守らない場合について、入管庁のQ&Aでは、罰則のある義務のうち退去強制事由にあたらないものを、正当な理由なく果たさない場合と説明されています。

第9号は窃盗や詐欺などの一定の罪で拘禁刑に処せられた場合です。過失運転致死傷や道路交通法違反、罰金刑は対象外とされています。

入管庁のQ&Aによると、「わざと払わない」とは、支払う義務を知りながらあえて払わないことです。払う能力があるのに払わない場合が想定されています。

病気や失業でやむを得ず払えない場合や、在留カードの携帯忘れのようなうっかりした違反は、取消しの対象として想定されていません。国会での修正で、第8号をあてはめるときは、それまでの税金や社会保険料などの支払いの状況や、今の生活の状況などに十分配慮することも定められました。

取消しの事由にあたっても、すぐに取り消されて出国させられるわけではありません。法務大臣が職権で、永住者以外の在留資格に変えることが原則です。

入管庁のQ&Aによると、変更先は多くの場合は定住者になると考えられています。ただし、今後も税金などを払う意思がないことが明らかな場合など、日本での在留を続けさせるのが適当でないときは、ほかの在留資格に変える扱いにはなりません。

取消しや変更の対象は本人だけです。永住者の子の在留資格(「永住者」や「永住者の配偶者等」)や、永住者である配偶者の在留資格には影響しません。

ただし、配偶者が「永住者の配偶者等」で在留している場合は、その在留資格にあたらなくなるため、定住者などへの変更が必要になります。在留資格が変わったあとも、あらためて要件を満たせば、永住許可を申請し直すことができます。

申請の時期の考え方

2027年3月31日までに申請すれば、年金の見込額、日本語B1、日本の制度やルールの理解、日本を離れていた期間、配偶者特例の年数の延長などの新しい基準はかかりません。ただし、世帯の収入と公共の負担についての新しい基準はかかります。

時期の影響が大きい人

日本人や永住者の配偶者で、結婚3年・在留1年は満たしていても結婚5年・在留3年には届かない人は、2027年4月以降の申請では特例を使えなくなります。在留期間「3年」の人は、2027年4月以降の申請では経過措置の条件を満たす必要があります。

企業内転勤の期間を含めて5年以上の就労資格を数えている人も、2027年3月31日までに申請するかどうかで評価が変わります。

過去10年に長く日本を離れていた時期がある人は、2027年4月以降の申請では半年と2年6か月という基準があてはめられます。これまでのガイドラインでも引き続き10年以上の在留が求められるので、2027年3月31日までの申請なら長い不在が問われないというわけではありません。

急いで申請するときの注意

期限に間に合わせるために書類が不十分なまま申請すると、不許可になるおそれがあります。これから2027年3月31日までに申請する場合も、世帯の収入は新しい基準で審査され、税金や社会保険料の納付、入管への届出なども、これまでどおり審査されます。そのため、要件を満たしているかを先に確かめることをおすすめします。

法定手数料と審査の期間

永住許可の法定手数料は2026年10月1日以降の申請から原則200,000円です。一定の要件を満たす人は、20,000円に減額される場合があります。

窓口で申請し、許可が出たときに収入印紙で払います。不許可の場合は払いません。

審査の標準処理期間は4か月から6か月です。審査の途中で今の在留期限が来る場合は、期限までに別に在留期間の更新を申請する必要があります。

2027年3月31日までに申請を考えている方は、書類をそろえる時間も含めて早めにご相談ください。

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今から準備できること

まず、世帯全員の住民税の課税証明書と納税証明書を取り寄せて、未納や期限に遅れて納めたものがないかを確かめてください。年金は日本年金機構の「ねんきんネット」や毎年届く「ねんきん定期便」で、加入記録に空白がないかと将来の見込額を確かめられます。

過去10年の出入国の記録は、入管庁に開示請求をすると取り寄せられます。手数料は1件300円の収入印紙です。1回で半年以上、または合計で2年6か月以上日本を離れていないかを数えておくと、2027年4月より前に申請するかどうかを決めやすくなります。

住居地の届出や、勤め先などの所属機関に関する届出を期限内に出しているかも確認してください。所属機関に関する届出は、転職や退職などがあってから14日以内に出す必要があります。

2027年4月以降に申請する予定の人は、B1を目安に日本語の学習を始めておくと安心です。証明に使う試験はまだ決まっていないので、入管庁の発表に注意しながら学習を続けてください。入管庁の「生活・就労ガイドブック」を読んでおくと、制度やルールの理解の確認にも役立ちます。

今の在留期間が5年か3年かも確かめてください。3年の人は、経過措置を使えるかどうかを、在留期限とあわせて確かめておく必要があります。

申請に必要な書類は、入管庁の永住許可申請のページにある、在留資格に応じた提出書類一覧表で確かめられます。

永住許可のガイドライン改定についてよくある質問

2027年3月までに申請すれば、新しい基準はかかりませんか

年金の見込額、日本語B1、日本を離れていた期間、配偶者特例の年数の延長などはかかりません。ただし、2026年4月1日以降の申請には、世帯の収入と公共の負担についての新しい基準がかかります。

2026年の夏に申請して審査中です。新しい収入の基準はかかりますか

2026年4月1日以降に申請して10月1日の時点で審査中だった場合は、かかります。2026年3月31日までに申請した人にはかかりません。

年収はいくらあれば永住が認められますか

基準は「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準」です。具体的な金額は公表されておらず、今後も公表しない予定とされています。よく見る「575万円」は2025年国民生活基礎調査の1世帯当たり平均所得金額で、入管庁の基準額ではありません。

共働きの場合、配偶者の収入も合算できますか

住居と家計を共にする家族の年収は合算されます。ただし、家族滞在などで、資格外活動許可を受けて働いている家族の収入は合算されません。

日本語B1はどの試験で証明すればよいですか

2026年10月時点で、ガイドラインに試験名の指定はなく、証明の方法も示されていません。評価方法や試験は、2027年4月の運用開始までに検討して公表される予定です。

日本人と結婚しています。何年たてば永住を申請できますか

2027年3月31日までの申請は結婚3年以上で日本に1年以上、2027年4月1日以降の申請は結婚5年以上で日本に3年以上です。素行の要件と独立の生計の要件は求められません。ただし、国益の要件として刑罰の有無、税金の納付、入管への届出、公共の負担などは審査され、2027年4月以降の申請では日本語や日本の制度・ルールの理解なども確認されます。

在留期間が3年です。永住を申請できますか

2027年3月31日までの申請なら、最長の在留期間として扱われます。2027年4月1日以降の申請で3年が最長として扱われるのは、2027年3月31日の時点で3年を持っていて、2027年4月1日以降で最初の永住許可申請をし、その3年の期限までに結果が出る場合に限られます。

海外出張や里帰りが多いと不利になりますか

2027年4月1日以降の申請では、過去10年以内に合理的な理由なく1回で半年以上、または合計2年6か月以上日本を離れていると、原則として不利に評価されます。合理的な理由の具体例は示されていないので、出張の記録などを残しておくと説明しやすくなります。

企業内転勤の期間は「5年以上の就労資格」に数えられますか

2027年4月1日以降の申請では、企業内転勤は就労資格から外れたため数えられません。2027年3月31日までの申請は技能実習と特定技能1号だけを除くこれまでの考え方で判断されます。

永住を取ったあとに取り消されることはありますか

今でも、不正な手段で永住許可を受けた場合などは取り消されることがあります。2027年4月からは、入管法上の義務を正当な理由なく守らない場合、税金や社会保険料をわざと払わない場合、一定の罪で拘禁刑に処せられた場合が加わります。うっかり忘れや、病気や失業でやむを得ない場合は想定されておらず、取消しの事由にあたっても、定住者などへの変更が原則です。

まとめ

永住許可のガイドラインは2026年10月1日に改定され、2027年4月1日以降の申請からすべて適用されます。年金の見込み、日本語B1、日本を離れていた期間などが新たに審査で見られ、配偶者特例の年数も延びます。世帯の収入などの基準は先に適用されていて、2026年4月1日以降に申請して10月1日の時点で審査中だった人と、10月1日以降に申請する人にあてはめられています。

年収水準の金額は公表の予定がなく、日本語の証明方法などもまだ示されていません。申請の前に、自分がどの基準で審査されるかを確かめ、納税や年金、出入国の記録を整えておくことをおすすめします。

永住許可の申請は日本法務にご相談ください

行政書士法人 日本法務では永住許可の申請を、要件の確認から書類の作成、出入国在留管理局への提出まで代行しています。代行報酬は88,000円(税込)で、法定手数料200,000円と実費は別にかかります。申請取次の行政書士が申請するので、ご本人が出入国在留管理局に行く必要は原則としてありません。

許可が取れなかった場合は、代行報酬を全額お返しします(法定手数料・実費は対象外です。条件は永住ビザのサービスページに記載しています)。今の在留資格と在留期間、日本に住んでいる年数を教えていただければ、どの基準で審査されるかと、いつ申請するのがよいかをお伝えします。お見積りは無料ですので、LINEまたはメールでお気軽にご相談ください。

佐藤 一清

執筆者

佐藤 一清

行政書士法人 日本法務 代表社員・行政書士。建設業許可・風俗営業関係の届出・在留資格申請など許認可業務を主な業務とし、令和8年8月に個人事務所 日本法務事務所から法人化。正確さとスピードを両立した法務サポートで、事業者のスタートアップを支える。(日本行政書士会連合会 登録番号 18081237)

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