建設業許可取得後に必要な手続きガイド
公開日 2017/10/18
更新日 2026/10/15
営業を開始したあとも法定の手続きがいくつかあります。建設業の許可取得後の手続きには、毎年行うものや、随時行うもの、または5年ごとに行うものがあります。
しかも、この手続きを怠っていると許可の更新手続きが行えないという事態に陥ってしまいます。最近は、下請けや孫請けまで含めて取得を求める動きが大きくなっています。
許可が失効すると会社の営業上重大な影響が生じます。この解説で許可取得後に必要な手続きをしっかり確認して、もれなく行うようにしましょう。
1. 5年ごとに行う手続き
許可満了日の30日前
許可を取得した日から5年間の有効期間があります。この期間を満了すると許可は失効します。30日前までに更新申請の手続きを行う必要があります。この手続きを行わない場合、許可は更新されませんので、絶対に忘れることのないようにしましょう。
提出書類自体は、新規申請の際と比べて一部省略でできます。また前回の提出書類の写しで足りるものもあります。たとえば、新規の際に必要であった工事履歴書や納税証明書は不必要です。
更新申請の際にも、基本的には当初の申請と同様の要件の充足が求められます。法令改正等によって要件が追加されたような場合にも対応しなければなりません。
たとえば、近年社会保険への加入の確認が厳しくなりました。今から5年近く前に取得した場合や、更新を行ったような場合には、再度確認が必要かもれません。このように、確実に更新手続きを行うためにはやはり事前の準備が必要です。
2. 毎年行う手続き
決算日から4か月以内
許可を取得したら、毎年決算届を提出しなければなりません。提出期限は決算日から4か月以内です。この期間に決算届を行う必要があります。
たとえば、東京都の知事免許を取得した法人については、下記の通りの提出書類一式が必要です。
1. 変更届出書(別紙8)
2. 工事経歴書(様式第2号)
3. 直前3年の各事業年度の工事施工金額(様式第3号)
4. 財務諸表 貸借対照表(様式第15号)
5. 財務諸表 損益計算書・完成工事原価報告書(様式第16号)
5. 財務諸表 株主資本等変動計算書(様式第17号)
7. 財務諸表 注記表(様式第17号の2)
8. 財務諸表 附属明細表(様式第17号の3)
9. 事業報告
10. 法人事業税納税証明書
このうち、4~6については、株主総会での報告に使用したものや、税務署へ提出した確定申告に使用したものを流用してはいけません。建設業法に基づいたものが必要です。
株主総会での報告用であれば、ある程度項目を少なくしハイライトでの報告の意味合いが強くなります。また、税務署への確定申告用であれば課税所得の計算結果に影響を及ぼさない範囲で簡便な処理がなされているかもしれません。
課税売上高5億円未満であれば、消費税の処理について税込経理をおこなっているかもしれません。これらは必要に応じて建設業法に定められた会計処理にひきなおして財務諸表を作り直す必要があります。
建設業法では税抜き会計での作成が求められています。このあたりが実務上よくみられる組み換えに関する問題点になります。
ただし、税務申告や株主への報告の際に建設業法にのっとった会計処理以外でのフォーマットを用いている場合は注意が必要です。とはいえ、最近の会計ソフトにおいては、日々の取引データについてきちんと処理されていれば税抜き会計から税込会計に変換することはそれほど難しいことではありません。
また、9の事業報告については、様式等が定められてはいません。これは、事業報告については会社の事業の実態に即した任意の形式で提出することが求められているためです。株主総会での報告等に用いられた事業報告書があるのならば、これを用いるとよいでしょう。
3. 随時行う手続き

変更が生じてから30日以内
以下の8項目につき変更が生じてから30日以内に変更届出が必要です。今回の変更事項については、法務局への登記を伴うものも多く、その登記が完了した謄本を添付書類とするものもあります。法務局への手続きにも1週間から2週間程度の期間を要しますから、変更届けに関する準備期間はあまりないと考えた方がよさそうです。
1. 商号の変更
2. 資本金額の変更
会社の名前が変更となった時に届出を行います。商号変更を行うと、法務局への変更登記も生じます。法務局の申請受理状況にもよりますが、1週間もすれば登記は完了しますから、完了後の謄本を添えて申請を行うようにしましょう。
資本金額が変更したときも、増資または減資の登記と合わせて変更届けの提出も必要になります。法務局との手続きをセットで行わなければならないものは、特に提出期限に注意をしましょう。
3. 営業所の名称の変更
4. 営業所の所在地の変更
5. 営業所の新設、廃止
営業所の名称や所在地が変更したら変更届けの用意を行いましょう。こちらについては、必ずしも登記簿に記載されている事項ではありませんから、忘れやすい手続きになると思います。
担当者はしっかりと確認をして届出を出しましょう。新設や、廃止についても届出の対象となっています。
6. 役員等の変更
7. 支配人の変更
役員や支配人など、重要な人に関しての変更も、届出事項とされています。役員については、登記事項になっています。こちらも届出に謄本の添付が必要です。商号変更や、住所変更の登記とは異なり、役員の就任に関しては個人の実印と印鑑証明の添付が必要となります。
したがって、実務上時間のかかりやすい登記事項になります。この完了を待って変更届けを提出する必要がありますので、注意が必要です。
変更が生じてから2週間以内
1. 施行令第3条に規定する使用人の変更
この使用人を変更してから2週間以内に変更届けが必要です。この使用人とは、従たる営業所の代表者のことです。支店長をイメージすれば分かりやすいと思います。
ちなみに、営業所の代表者については常勤性が求められていますので、その性質上複数の営業所の代表になることはできません。支店長が他の支店の支店長を兼ねるような変更を行おうとするような時は確認が必要です。
2. 経営業務の管理責任者の変更
経営業務の管理責任者が変更となるような時にも届出が必要です。このとき、略歴書を添付する必要があります。賞罰の欄の確認を怠り行政指導を受け、または場合によっては許可を取り消さてしまうこともあります。
具体的に多い事例は、刑事罰の有無等です。本人さえ忘れてしまっていることもあります。確認しにくい項目にはなりますが、しっかりと確認をするようにしましょう。
3. 営業所技術者(旧:専任技術者)の変更
営業所技術者が転勤等で移動になった場合には届出が必要です。この場合も2週間以内に変更届を提出する必要があります。配置換え等による移動で変わりの営業所技術者がいる場合について問題はありませんが、退社などによる変更でその後の後任者が見つからない場合はどうしたら良いのでしょうか。
この場合も、2週間以内に変更届を出すべきです。提出した後に、取り消しの処分が行われます。一時的に許可は取り消されますが、その後に要件を満たした営業所技術者を配置することができれば再度許可をとりなおすことができます。
しかし、営業所技術者を欠いたのにもかかわらず届出を怠ると、それ自体が行政指導の対象になります。この場合は、単に許可が取り消されるだけでなくその後5年間許可の申請を行うことができません。そうならないためにも、営業所技術者がいなくなってしまった場合も含めてしっかりと届出を提出しましょう。
その他
1. 国家資格者・監理技術者の変更
国家資格者・監理技術者一覧表が変更になった場合も変更届けが必要です。ただし、こちらは変更後速やかに提出することとなっています。特に期限はありません。実務的には、毎年の決算届を提出するときに、国家資格者・監理技術者についても確認して提出する事業所もあるようです。
執筆者
佐藤 一清
行政書士法人 日本法務 代表社員・行政書士。建設業許可・風俗営業関係の届出・在留資格申請など許認可業務を主な業務とし、令和8年8月に個人事務所 日本法務事務所から法人化。正確さとスピードを両立した法務サポートで、事業者のスタートアップを支える。(日本行政書士会連合会 登録番号 18081237)
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